決算書を読む④
前回の続きで、カルビー、湖池屋、明治、森永製菓の総資産などの推移をみていきます。
以下に総資産と当期純利益、ROAの推移を示します。総資産と当期純利益は2012年からの変化率としています。
いずれも資産、利益は増加しているようです。その中で、森永製菓は年々、ROAが高くなっており、事業の効率化が進んでいることがわかります。
次にキャッシュフローをみてみます。
湖池屋と森永製菓は投資CFがプラスとなっている年があり、資産の売却を返済に充てて財務体質の改善を図っていることかと思います。
いずれにしても各社営業CFがプラスであり安定した経営状況だと思います。
続いて、正しい比較方法かわかりませんが、総資産で投資CFを割って、
各社の投資意欲を比較してみようと思います。
値がマイナスに大きいほど、資産に対して大きな投資をしていることを示しています。
解釈が難しいですが、
明治は徐々に投資額を増やしておりこれからに期待ができそう。
森永製菓は投資と財務体質改善を進めている。
湖池屋は投資が少なくなっており、大きな事業拡大は考えていないのかなぁ。
といった感じでしょうか。
ここまでみてきた中では、ROAやキャッシュフローの観点で森永製菓が将来性ありそうな印象です。
最後に株価とPBRを確認してみます。
PBRは、総資産を株式数で割って1株当たりの株価を算出し、現在の株価と比較した値です。
PBRが1を超えていれば総資産のわりに株価が高く、1以下であれば割安株と言えます。
いずれも優良企業であり配当もよさそうなので株価が高いですね。
今のうちに買うべき銘柄はなさそうです。
今後はもう少し規模の小さい会社も見ていこうと思います。
決算書を読む③
今回はお菓子業界からカルビー、湖池屋、明治、森永製菓の決算書をみていきます。
1点注意ですが、以下に利益率や営業利益率などの略称をだしていますが、正確な用語とは異なる使い方と思うのでご留意ください。
ではまずは貸借対照表を確認します。
決算期が異なっていて、湖池屋は2019年6月、その他は2020年3月での比較になっています。
規模が大きい順に明治、カルビー、森永製菓、湖池屋となっています。
総資産に対する当期純利益の割合(ROA)を比較すると、カルビーが8%ともっとも高く、
効率の良い経営を行っていることがわかります。一方で湖池屋のROAは1.8%と他社に比べて低く、改善の余地が多そうです。
次に、資金の調達方法(純資産と負債)をみてみると、カルビーは純資産の割合が大きく、安定性も高いと言えそうです。
一旦、貸借対照表から離れ、湖池屋のROAが低い原因を確認するため、損益計算書を確認してみます。
まず、売上高に対する粗利の割合(利益率)をみてみます。
カルビー | 湖池屋 | 明治 | 森永 | |
売上高 / 百万円 | 255938 | 33965 | 1252706 | 208878 |
粗利 / 百万円 | 115086 | 12784 | 462523 | 110130 |
利益率 / % | 45 | 38 | 37 | 53 |
森永がやや高いですが大体40%前後という感じで大差なさそうです。
次に、粗利のうちどの程度が営業利益となったか、その割合(営業利益率)を確認します。
カルビー | 湖池屋 | 明治 | 森永 | |
粗利 / 百万円 | 115086 | 12784 | 462523 | 110130 |
営業利益 / 百万円 | 27664 | 677 | 102708 | 21230 |
営業利益率 | 24 | 5.3 | 22 | 19 |
湖池屋の営業利益率が他社に比べて極端に小さくなりました。
粗利は、売上高から原価を引いた額。営業利益は粗利から、販売費および一般管理費を引いた額となります。
つまり、湖池屋は他社に比べて販売費や一般管理費が高いということになります。
この内訳を決算書で確認してみます。粗利に対する販売促進費などの割合を下表にまとめました。
カルビー | 湖池屋 | 明治 | 森永 | |
粗利 / 百万円 | 115086 | 12784 | 462523 | 110130 |
販売促進費広告費 / % | 33 | 33 | 22 | 42 |
運賃保管料 / % | 11 | 28 | 10 | 12 |
研究開発費 / % | 2 | 3 | 6 | 2 |
これをみると、湖池屋は運賃保管料の割合が他社に比べて高いことがわかります。
仮に運賃管理費を他社並みの水準にした場合、営業利益はおよそ20億円押し上げられ、営業利益率も他社同等の20%程度となります。
したがって、湖池屋のROAが低い主要因は、販売にかかる運賃保管料が高いためと考えられます。
この運賃保管料の差は、他社との事業規模によるものかもしれませんが、
改善できれば大幅な利益向上が望めそうです。
単年度の決算書だけでは正確とは言えませんので、
今後、数年間の売上推移などをみて各社の成長性を調査しようと思います。
プログラミング①
自分のHP作成を目指してHTML/CSSの勉強を始めました。
ひとまずProgateとドットインストールの無料のところを完了させています。
Progate完了後にドットインストールをやりましたが、ドットインストールのほうがHP作成の流れがわかりやすかったです。
現在、JavaScriptのコースを進めています。
調べた感じでは有料コースまでを一通りやらないと役に立たないようです。
ですが、有料コースには進まず、模写コーディングとGoogle検索でできるところまでやってみようと思います。
決算書を読む②
前回の資生堂、コーセー、ポーラの決算書について、流動比率も確認しておきます。
流動負債は1年以内に支払期限のくる負債、流動資産は1年以内に現金化する資産を意味するので、
流動比率が高ければ(1より大きければ)支払い能力に余裕があり、
低ければ(1より小さければ)支払い能力に問題があると判断できます。
ただし、流動比率は簡易的な支払い能力の確認方法で、
1を下回ったからといって必ずしも問題があるということにはならないらしいです。
前置きが長くなりましたが、3社の流動比率を確認してみます。
資生堂 | 1.75 | 1.81 | 1.42 | 1.15 |
コーセー | 3.07 | 3.07 | 3.10 | 3.43 |
ポーラ・オルビスHD | 4.66 | 3.97 | 3.38 | 5.37 |
各社とも1を超えており支払い能力には問題ないと言えそうです。
最後に、資生堂、コーセー、ポーラ含めて化粧品業界の株価とPBRを確認してみます。
PBRは企業の(1株当たりの)純資産に対して現在の株価が高いか低いかの指標で、値が小さいほど割安であることを意味します。
1以下であれば純資産よりも株価が安いということでお買い得となります。
では、各社の株価、PBRをみてみましょう。
株価 / 円 | PBR / % | |
資生堂 | 6618 | 5.48 |
コーセー | 12020 | 3.07 |
花王 | 8480 | 4.85 |
ポーラ | 1750 | 2.26 |
マンダム | 1870 | 1.25 |
ファンケル | 3200 | 5.80 |
ノエビア | 4525 | 3.20 |
ハーバー研究所 | 4370 | 1.38 |
資生堂、コーセー、ポーラでみると、会社の規模と株価は必ずしも一致しないんですね。
コーセーの株価が高いのにPBRが比較的低いのは、発行株式がそんなに多くないってことですかね?
この辺りはのちのち考えるとして、比較的割安なマンダムとハーバー研究所について少し調べてみます。
マンダムはギャツビーなど販売している会社のようです。日ごろからお世話になっていました。
一方のハーバー研究所は、無添加の化粧品を販売しているようです。
前回の記事でClean市場に少し触れましたが、資生堂も力を入れてそうなので、これから伸びるかもしれませんね。
ちょっとハーバー研究所について決算書を確認してみます。
2016 | 2017 | 2018 | 2019 | ||
ハーバー研究所 | 営業CF | 1907 | 1495 | 2670 | 1921 |
投資CF | -363 | -961 | -923 | -471 | |
財務CF | -1469 | -538 | -427 | -571 | |
(百万円) |
順調に成長しており、ROAは資生堂やコーセー、ポーラとくらべても低くないです。
また、キャッシュフローも問題なさそうです。
これは投資先としてかなり有望なのでは。。。と思いました。
決算書を読む①
決算書を読む勉強中です。
実際に企業の決算書をみながら勉強していこうと思います。
おしゃれイズムを観ていたところなので、資生堂。
比較のためにコーセーとポーラの決算書を確認していきます。
各社HPのIR情報に記載されている損益計算書(P/L)から図を作りました。
2015年と2019年の損益計算書をみてみます。
まず資生堂の資産が他の2社の3倍以上であり規模の違いがよくわかります。
一方で、資生堂のROAはコーセーやポーラに比べて低くなっています。
ROAは資産に対する当期純利益の割合であり、ROAが高いほど効率よく利益を出せていることになります。
持っている資産を最も効率よく使えているのはコーセーと言えそうです。
なお、各社の売上総利益率をみると、資生堂の利益率は他2社より低いわけではないです。
売上総利益率は売上高に対する売上総利益(売上ー原価)の割合なので、
資生堂は原価以外の広告費などに売り上げを多く使っているため利益が小さくなっていると想像します。
資生堂はCMも多いですし何となくシックリきます。
それとは別に、他の業種がどうか知りませんが、化粧品の利益率が7割以上というのは個人的には驚きです。
原料は安いですが大きな付加価値を乗せているということなのでしょう。
また、3社の中ではポーラの利益率が高いので、
より付加価値の高い商品を販売しているということになりそうです。
最後に損益計算書に戻って、各社の資産に対する資本の割合をみてみます。
コーセーは資本の割合が最も高く、仮に当期純利益が赤字になった場合でも、
その影響度は3社の中で一番小さいと言えそうです。
つまり、3社の中で最も安定した経営状態なのはコーセーといえるのかなぁと思います。
最後にキャッシュフローを確認しておきます。
コーセー、ポーラは営業CFがプラスで投資CFと財務CFがマイナスになっています。
得た利益で投資と返済が行われており、いずれも安定した経営をしていると言えそうです。
一方、資生堂は2016年や2019年に財務CFがプラスで大きな投資を行っています。
2019年決算短信によると、国内新工場やグローバルイノベーションセンターへの設備投資及び Drunk Elephant Holdings,LLC の取得などをおこなった。とあります。
ドランクエレファントは米国のClean市場*の先駆者的な企業らしいです。
*:人体や環境にクリーンな成分を使った化粧品の市場で、はやりつつあるらしいです。
HP(https://corp.shiseido.com/jp/ir/strategy/mgt.html#content-3)にある、
「「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー」を目指す」というビジョンに説得力があります。
話はそれましたが、キャッシュフローからは資生堂は攻めの経営、コーセー、ポーラは安定志向の経営なのかなと思いました。
興味のない業界でしたが調べてみると面白いですね。
今後もいろいろな企業の決算書をみて勉強していこうと思います。
特許調査~太陽光発電②~
前回の続き。
2000年~2019年6月の出願人の数は約2500となっていました。
上位20社の出願件数、各年における上位10社の出願件数推移は下図の通りです。
上位3社のシャープ、Panasonic、京セラの出願件数が頭一つ抜けている感じです。
ピーク前後の5年間での出願件数を多い順に並べてみました(下表)。
日立化成や大日本印刷の出願が伸びているようです。
ブームの際、関連材料が大手メーカーに採用されたってことかもしれません。
エルジーがかなり頑張っていて、日本市場 を狙う意気込みが感じられます。
本日はここまで。
今度は共願者や技術動向などみていきたいですが、Jplatpatでの調査はかなり骨が折れますので良い調査方法を考える所からやる必要があるかもしれません。。。
2000-2004年 | 2014-2018年 | |
1 | シャープ | 三洋電機+パナ |
2 | 京セラ | エルジー |
3 | キヤノン | シャープ |
4 | 三洋電機+パナ | 日立化成 |
5 | 三洋電機 | 京セラ |
6 | 三菱重工業 | 大日本印刷 |
7 | カネカ | 三菱電機 |
8 | 富士電機 | カネカ |
9 | 本田技研工業 | 積水化学工業 |
10 | ソニー | 富士フイルム |
11 | 産業技術総合研究所 | 東レ |
12 | 富士電機システムズ | サンパワー |
13 | セイコーエプソン | 東芝 |
14 | 日本板硝子 | 信越化学工業 |
15 | 信越半導体 | 三菱化学 |
16 | 凸版印刷 | 住友化学 |
17 | 大日本印刷 | トヨタ自動車 |
18 | 三菱電機 | 旭硝子 |
19 | シチズン | リコー |
20 | 日立電線 | 凸版印刷 |
特許調査~太陽光発電①~
ソーラーパネルの寿命がくると言われている昨今、
ふと思い立ったので太陽光発電関連の特許を調べてみました。
まずは検索式を立てるところから。
あまり細かいことは調べないのでFIを使ってザックリ調べることにしました。
まず、該当するFIを調べます。
Jplatpatの特許・実用新案検索で太陽電池と検索し、それっぽい出願のFIをみるとH01L31/04とあります(下図)。
これがどういう分類なのか、Jplatpatの特許・実用新案分類照会(PMGS)で詳細を確認します。
長々と書いてありますが、
H01L31は
”可視光や粒子線などに反応する半導体装置で、そのエネルギーを変換制御するもの”
で、
H01L31/04は
"変換装置として使用されるもの"
となっています。
問題なさそうなのでH01L31/04で検索しました。
では、調査結果です。
まず、2000年~の出願件数をみてみます。
出願件数は2007年頃から増加し、2011年にピーク、その後減少して現在はピーク前の水準まで戻っています。
(2019年はまだ公開前のため出願件数が少ないのだと思います)
補助金とか、固定価格買取制度とか、この辺で始まったんですかね。
2010年ごろは「温暖化が~」とか「再生可能エネルギーが~」とか話題になっていた気がします。
世論や政策を背景に各企業が製品化に向けて頑張って出願していたのだと思います。
ひとますここまでにして、
次回はどんな企業がこの分野で頑張っているのか、
企業別の出願件数を確認してみようと思います。